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[コラム] タンギス綿とは

タンギス綿はペルーの在来綿であり、バルバデンセ(超長繊維綿)の分類に入ります。バルバデンセは、綿花品種の中で繊維が最も長く、大部分が超長繊維綿あるいは長繊維綿に属し、高級綿製品の原料として使われています。一般においてはエジプト綿が有名です。

個性的なペルー綿

ペルーの綿は少し個性的で、繊維の太いアスペロ綿、非常にソフトな超長綿のペルーピマ綿、そしてタンギス綿が代表的です。

アスペロ綿は天然色のバルキー綿で、コシの強さ、弾力性、吸湿性に優れます。繊維が太いため染料の沈着がよく、鮮やかな色に染まります。アンデス山中で農薬や化学肥料をほとんど使わずに栽培されていますが、あまり日本には輸入されていないようです。

同じく在来綿のタンギス綿は、20世紀初頭に「フザリウム立枯病(Fusarium vasinfectum)」が流行した際に、この病害に強い品種として開発されました。水が少ない環境でも育ち、こちらも太い繊維が特徴で吸水性も良く、ほどよいバルキー性があるのでニット用として重用されています。タンギス綿も染料の定着がよく、ハリとコシがあり、羊毛と混紡できるという特長もあって、今ではペルーの綿花生産量の75%を占めています。
ペルーアンデス山脈

ペルーの綿栽培事情

このように世界の綿市場を見てもやや特徴的な綿を生産していたペルーですが、近年は綿生産が右肩下がりで落ちています。かつては輸出大国でしたが1990年代以降はインドや中国から綿を大量輸入して逆転してしまいました。

その原因としては、国内の灌漑施設が整備されて、年間を通して農業用水を確保できる耕作地が増え、より収益が見込めるトウモロコシなどに転作したことがあげられます。また産業構造も変化し、大農場は改革と解散に見舞われ、繊維・衣料産業も大きく発展し、労働集約的な綿収穫より、海外の安い綿花を輸入して高級ブランドの綿製品を製造して販売する収益構造への変化がありました。

綿栽培についても国内需要をまかなえるほどの生産量はもうないようで、シルクのような風合いのピマ綿が高価な稀少品として輸出されているようですね。タンギス綿を使った今治タオルも一部ではありますが生産されているようです。