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[コラム] 今治タオルが縮む?

今治タオルはその品質基準テストにおいて、寸法変化率の検査をしています。40cm四方のタオル生地を洗濯してその寸法安定性を検査するのですね。
一般的に、繊維製品の寸法安定性を阻むものとして布地の収縮があり、その原因には水による膨潤と、製造時のひずみと、熱収縮が挙げられます。タオルの原料の綿などのセルロース素材の収縮には、水による膨潤収縮と、ひずみによる緩和収縮があります。
綿やレーヨンなどの植物を原料とする繊維は吸水性がとても良いです。そのため水分を吸いこむことによって繊維が太くなり、その分全体の長さが縮んでしまうという性質を持っています。これは繊維自体は膨らむのですが、長さ方向には変化しないためにおこるもので、織り縮みが大きくなり、糸と糸の間が詰まって全体の収縮となって表れます。
これに対し、緩和収縮は紡績や製織の工程で、繊維にテンション(張力)をかけられていたものが、もとの安定した形に戻ろうと収縮してしまう現象です。糸や織物は常にある一定の力で引っ張られた状態にあり、吸水あるいは吸湿によって元のリラックスした状態に戻ろうとしてしまい、主に織りの縦方向(長さ方向)に引っ張られたものが縮むのです。
ですのでタオルをはじめとする綿織物は、常に長さ方向に対して収縮が発生しやすい状態であり、水を吸うのをお仕事とするタオルにとっては、たとえそれが今治タオルであっても、収縮とは切っても切り離せない関係ともいえます。品質基準テストに置いても、ある程度は仕方ないものであるとして、7%以内との基準を設けております。もちろん強い圧力をかけたりしない限り、数回のお洗濯で一気に縮むことはございませんのでご安心下さい。
以上は綿の特性ですが、合成繊維の場合は熱収縮もあります。ポリエステルなどは高温でアイロンやプレス機をかけると収縮してしまう場合があるので中温が奨励されていますね。ウールの場合はフェルト化収縮もあります。これはウール表面のウロコ状に覆われているスケールが、水に濡れた際に水分を発散しようと開いてしまい、隣の糸とからんで固まってしまう現象です。ウールのセーターやニットが洗濯で縮んでしまうのはこれですね。完全にフェルトが固定していない状態でしたら、一度湿らせて柔軟剤やヘアトリートメントなどでほぐして乾燥することで多少の回復が可能です。