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100 年以上前の旧式織機を使ってつくる、
愛ある織りもの
玉川町鬼原。愛媛・今治の自然豊かな山間に、「この地に織物で座る」という思いで名付けられた「工房織座」。タオルの産地として知られる今治ですが、この工房でつくられるのは、マフラーやショール、キャップなどの服飾雑貨がメイン。
「工房織座」の物語は、工房織座代表・武田さんと 100 年前のシャトル式織機との出会いによってはじまりました。
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「マフラー」への想い
武田さんは元々、今治のタオルメーカーの職人でした。
当時タオルでなにか新しいものづくりができないかと日々模索する中で、これまでのような「拭く」「使う」という概念とは別の「巻く」「装う」というテーマにたどり着いたそう。
そこから商品開発に取りかかり、しまなみ海道開通の頃に誕生したのが、タオル織機で織った「コットンマフラー」でした。
ちょうど社会的にも紫外線対策への意識が高まりはじめた頃であり、「夏になったらマフラーは売れなくなる」というこれまでの常識を覆して年間通して大ヒット。今治の歴史の中でもタオルケットやタオルハンカチが登場したときのような革命的なアイテムとして定番となりました。
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旧式織機との出会い
「コットンマフラー」の誕生と同じ頃、今治でタオル資料館をつくるプロジェクトが始動しました。
歴史資料として昔の織機を展示しようとしたのですが、当時の今治には一台も現存していませんでした。
そこで、昔の織機を復元することに。その復元製造に責任者としてかかわることになったのが、武田さんと旧式織機との出会いでした。
全国を駆け巡り、図面やパーツをかき集め(手に入らない部品は手作りで!)、様々な旧式織機を復元制作していく中で、織機の構造や個性を深く知ることとなり、どんどんその魅力に惹かれていきます。
それと同時に、外で身につけるファッションアイテムとしての「マフラー」という存在に大きな可能性を感じていた武田さんは、革新織機では生み出すことができない独創的な織りのアイデアを思いつき、「もっと価値のあるものづくりがしたい!」と決心し、2005 年に長年勤めていたタオルメーカーから独立することに。
こうして、旧式織機の持ち味を生かした織物メーカー「工房織座」が誕生しました。
唯一無二の「着尺一列機」誕生
大量生産の時代。どこの工場も最新の高速機械や高度な技術の導入にしのぎを削るなか、武田さんが魅せられたのは、昔ながらの古い織機だからこそできる織りの表現の奥深さ。
壊れて動かなくなった旧式織機を全国から集めて、復元と改造を重ね、世界でここにしかない工房織座のためだけの「着尺一列機」が誕生したことから、本格的に工房織座のものづくりがスタートします。
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「着尺一列機」で、タテ糸のあいだをヨコ糸を内蔵したシャトルが往復しながらゆっくりと織り上げる織物には、素材それぞれの風合いが引き立った、肌ざわりが良く、ぬくもりのある質感が生まれます。
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工房内は、それぞれの織機からシャトルの往復する音や車輪のまわる音がリズムよく鳴り響き、人の声もかき消すほどの音量。なのに、不思議と心地よく感じられます。
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繊細なカスタマイズ技術から広がる、織り物の可能性
武田さんが旧式織機をつかってものづくりをする、もうひとつの理由はカスタマイズができること。
糸の通し方や密度を細やかに変えることで、高速織機では織ることが難しい太い糸や質感のある糸も織ることが可能になり、できあがる織物の可能性や表情は様々な広がりを持って豊かになります。
現代の高速織機と違っていろいろと改造できるのも、旧式織機の魅力といえます。
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手間と時間は惜しまない
工房織座の「唯一無二の織り」を活かすため、現場では今も手仕事を多く取り入れています。
たとえば、織りあげたマフラーの仕上げには……
- 繊維をいためないようにやさしく洗う
- 1 枚ずつ丁寧に陰干し
- 自然乾燥されるまでじっくり待つ
- フリンジも、1束1束人の手で結い上げる
という丁寧な工程が、時間をかけて行われています。
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古きを知り、新しきを生む
1日の生産量で見ると、旧式織機の生産能力は高速織機に比べて実質30分の1程度。
非効率にも思えるこの選択は、結果的に糸にストレスをかけず優しくゆっくり織ることで「薄くて柔らかく、繊細だけど丈夫な織物」に仕上がることになり、「ここでしか生み出せないものづくり」を実現する、たいへん意味のあるものとなります。
マフラーに価値を見出し、そして追求した先にたどり着いた古い織機。
「これからも古い織機をつかって、自分の個性を織り込んだ新しい織り物をどんどん生み出していきたい」と語る職人・武田さん。
先人の知恵を学びながら、現代の暮らしに寄りそう織物を創造し続ける工房織座の作品を、9月から3ヶ月に渡り季節を追って伊織 HPでご紹介していきます。
伊織が愛する工房織座のストール
季節も流行りも関係なく使える工房織座のストールたちは、私たちのマストアイテム。店頭でもプライベートでも工房織座を愛してやまない伊織スタッフたちからコメントが集まりました。
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もじりジーンズ
伊織 本店
窪店長
最近は制服代わりにパイル地のシャツを着ているのですが、ゆるゆるとした脱力感を程よく引き締めてくれるので、仕事中だけでなく、休憩中の商店街散 策のときもずっと巻いています。ときどき手洗いしたり、毎日使っていくうちに、糸の風合いがかなり変わってきました。デニムのような経年変化を楽しんでいます。まさに自分だけの 1 枚!
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麻とボタニカルオーガニックの節糸格子マフラー カーネーション
伊織 ECチーム
鈴木さん
倉庫での作業は冬場にぐんと冷え込むことも。そんなときは首元にマフラーがあるだけであたたかさが違うので必需品!この時期、防寒の必要はないですが、気分をあげるアイテムとして巻いています。仕事中も、お気に入りのものや好きな色を身につけているだけで、よし頑張るぞと気合が入ります。季節を意識してマフラーを選ぶのも楽しみです。
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伊織のしまなみストール ブルー
西日本エリアマネージャー
宮下さん
いつも黒い服を着ていることが多いのですが、ストールや靴下などで色を入れ るのが好きですね。工房織座さんならではの「もじり織り」にゆらぎ模様が描かれたこのストールは、職人・武田さんが生み出した技術と、こだわりが詰まった1枚だと思います。瀬戸内の海や空をイメージさせる青×白の組み合わせも素敵でしょう?生まれ育った愛媛の良さがギュッと凝縮されていて、身につけていると、なんだか誇らしい気分になれるようなストールです。
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もじりリネンコットンスラブマフラー ラベンダー
伊織 松山店
武田副店長
店頭のお客様と工房織座さんトークをするのが大好きで。少しでも商品に興味をもってくださったお客様には、とにかく触れて、巻いて、鏡でみてもらって います。色々と試着していただく中で、つけ心地の良さを共有できたり、「自分にはこんなのが似合うんだ!」という新しい発見に、お客さんが喜んでいる姿 をみると私も嬉しくなりますね。私がお気に入りのこのマフラーは、スラブ糸が肌触りも見た目にもアクセントになっていて、シンプルだけうちゃんと個性がある。表情豊かな工房織座さんの巻物たちは、選ぶ時間も楽しいのです。
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リネンコットンちぢみスヌード マリンホワイト
クリエイティブ部
藤野さん
いままでは巻物は秋冬だけのアイテムとしてしか考えてなかったのですが、工房織座さんの巻物に出会ってからは「秋冬だけではもったいないぞ」と。素材を選べば夏も楽しめるものだと気付きました。気持ちのいいものは一年中身につけていたいですね。ちなみにこのリネンコットンのスヌードは、素材だけでなく、爽やかな色が気に入って選びました。フリンジがこのスヌードのチャームポイントではありますが、私はあえてフリンジを控えめにみせて巻くのがこだわりです。
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風通るリングストール N オリーブ
伊織 東急プラザ銀座店
只縄さん
店頭で着けているとお客様によく「どうやって巻いているの?」と聞かれるこのストール…実は筒状になっていて、輪っかに首を通すだけでこなれた雰囲気に仕上がるのです。だけど型通りにしか巻けないわけではなく、くるっと回したり、軽く端をブローチで留めてもランダムな動きを楽しめるので飽きません。短めのマフラーとしても使えるので、バックヤードでの作業中はコンパクトに巻いています。自分の生活の中で毎日使いやすいデザイン・サイズ感であることも巻き物選びのポイントです!
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リネンコットンストール エッジライン ブルー
国内販売チーム
橋本さん
普段はわりとカジュアルな格好で勤務していますが、少しキリッとした時には、ネクタイを締めるような感覚でストールを巻いています。エッジの効いたラインが入っているので、やわらかい雰囲気になりすぎないところが気に入っています。暑い季節にも使いやすいリネンコットン素材ですが、色味が落ち着いているので秋冬もマフラーとしてジャケットに合わせて使っていく予定です。
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麻のストールハーフ カーキ
伊織 広報
森さん
出先で強い日差しを感じるときは、日避けとしてバサッと身につけます。キンキンに冷えた喫茶店や電車の中では羽織として使えたりと、夏のお出かけのときは、とりあえずカバンに入れておくと安心。リネンは程よいシャリ感がありつつ、使い込むとやわらかく馴染んでくるのでとにかく心地よい。夏以降もお世話になります。
しまなみ海道の終着点 美しい島々、
海と山に囲まれた町「今治」に、工房織座はあります
四国地方の北西に位置する愛媛県今治市。瀬戸内海の壮大な自然を背景に、島々をむすぶ「しまなみ海道」は、サイクリストをはじめ、国内外から多くの観光客が訪れる人気のスポットです。
また、日本一の建造量を誇る造船・海運業、国内のタオルの 5 割以上を生産する織物業など、古くからものづくりが盛んな町でもあります。
高縄山系を源流とする蒼社川の伏流水は、不純物の少ない軟水で、繊維の晒しや染めに最適。肌ざわりがやさしく、繰り返し使ってもくたびれにくい良質な織物が生まれる由縁です。
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株式会社 工房織座 794 ‒ 0117 愛媛県今治市玉川町鬼原甲 55
KOBO ORIZA Co., Ltd.
55 Onibara-Kou, Tamagawa-Cho,
Imabari-Shi, Ehime 794 ‒ 0117 Japan Tel 0898-55-2564 Fax 0898-55-2584