目次
伊織×Landscape Products コラボ商品
普通だけど普通じゃないタオルを。
「PLAIN PLAID」開発者の小さな座談会
2017年にリリースされた伊織×Landscape Productsのコラボレーションタオル「plain plaid(プレインプレイド)」のリニューアル商品として、2021年9月に新登場した「PLAIN PLAID」。
読み方は同じ「プレインプレイド」のまま、そして「麻×綿のワッフルタオル」という特徴など開発者のこだわりも、形や色を変えながらもしっかりと受け継がれており、初代plain plaidユーザーのみなさまからも喜びの声が届き始めています。
今回は改めてPLAIN PLAIDの魅力を掘り下げるべく、伊織とコラボするきっかけとなった出会いの話から、リニューアルするまでの経緯、生まれ変わったプレインプレイドの新しい特徴など、開発に携わった3人にお話を伺いました。
※2021年10月取材
< Landscape Products について >
1997年に中原慎一郎を中心に結成。1940~60年代のモダンデザインをルーツに家具の製造販売をスタートし、2000年には渋谷区神宮前にて「Playmountain」 をオープン(現在は渋谷区千駄ヶ谷にて運営)。同年法人化するとともに、その後は住宅・オフィス・店舗の内装デザイン、直営店展開、生産卸、エキシビションやイベントのプロデュース/ディレクション、編集/出版、ブランディングと活動範囲を広げている。
【Landscape Products HP】http://landscape-products.net/
< お話しした人たち >
ランドスケーププロダクツ 代表取締役 池田さん
ランドスケーププロダクツ スタッフ 今中さん
伊織 商品企画マネージャー 松浦
– PLAIN PLAIDは、伊織とランドスケーププロダクツとのコラボ商品第2弾というか、リニューアルして再登場したタオルということで、「なぜ私たちが一緒にタオルをつくることになったのか?」という経緯から改めてお客様にもお伝えたいと思い、今回取材にまいりました!
松浦 |
実を言うと、私は初代plain plaidの製造の段階で途中参加することになったので、出会いなどの経緯をしっかりとは知らなくて。 |
今中 |
伊織さんとの取り組みのはじまりは、伊織の国立店(2018年3月閉店)をつくるときに店舗設計を依頼されたのがきっかけですね。 |
池田 |
店舗をつくっていく中で、タオルをかける什器もデザインして開発していた流れで、「これ(什器)にかけるタオルも開発しましょう」という話に。 でもラインナップがたくさんある中で、僕らが普通のタオルをつくっても面白くならないので、ちゃんとテーマのあるタオルをつくろうとなりました。 そこで代表の中原が「旅に持っていきやすいタオル」というテーマを挙げ、中原自身が当時10年近く愛用していた海外製の麻100%のリネンワッフルタオルを参考に、薄手で軽く、吸水性があるタオル開発を提案したのが始まりです。 タオル以外にピローケースもつくったのですが、これは旅先での洗濯物を中に詰められるパッキングアイテムとしても使うことができて。そんな遊び心も入れながらつくったのが最初の「プレインプレイド(plain plaid)」です。 |
今中 |
それまでうちのお店でもタオル商品を仕入れて取り扱ったことがあったんですけど、結構大きめのビーチタオルとかが多く、デイリーユースなものがなかったので、plain plaidはお客様を選ばず展開できました。 |
池田 |
サンフランシスコにも一時店舗があって、そちらでも販売していましたが、とても反応がよかったですね。海外のほうがパイルじゃないタオルに対して受け入れ態勢があって。 |
松浦 |
麻の素材を使ってタオルをつくるのは私たちにとって初めてだったんですけど、もう本当に大変でした。もともと「麻100%タオル」を求められていて。綿と違って麻は糸が切れやすいので、工場も敬遠していたんですよね。 |
今中 |
中原(ランドスケーププロダクツ 代表)の「麻100%」のこだわりは当初強かった。そこが難しかったと当時のことを話していました。 |
松浦 |
今治のタオル工場で使われているような高速織機で織ると、綿よりも伸度がない麻糸は負荷に耐えられず切れてしまうという問題があったので……。何度もトライしましたが、結局タテ糸だけを綿糸にすることで着地させました。 試行錯誤しながら、開発に1年半ぐらいかかった記憶があります。完成に至るまでにいろいろと試した織りのサンプルが、それはもうたくさんうちに残っています。 |
普通じゃないタオルを残したい。
生まれ変わってPLAIN PLAID に。
松浦 |
第2弾は伊織からの提案がきっかけになるのかな。 初代プレインプレイドは一度廃盤になってしまったのですが、継続できなかった理由が、麻糸の価格が高騰して同じ値段でつくることが難しくなったというのがひとつあって。商品価格を上げないようにするにはさらに大量につくらなくてはいけなくなるなど、様々な理由がありました。 でもやっぱり私たちの中でも、さっき池田さんがおっしゃっていたような“普通じゃない”このタオルを残したいという気持ちがあって。 少し形が変わっても良さを継承するような商品として復活できないかと、いろんな工場を回って、ロットや価格の問題を相談していく中で、今のプレインプレイドの元となるタオルサンプルを見つけたので、それをランドスケーププロダクツのみなさんに提案し、受け入れていただいたという流れで再始動できました。
そのときにお渡ししたサンプルは、もう少し織り組織が違っていたと思うんですよ。ナチュラルな雰囲気で、ヘム(タオルの短辺の端)もしっかり織り込まれたもので。 |
池田 |
タオルらしいタオルになってきちゃうと、どうしても僕らが普通に取り扱う理由がなくなるというか。そこで「端っこをフリンジ風に」などちょっと無理を言ったりして。最初は多分、ミミ(タオルの長辺の端)も縫いたくないとまで言っていたんですよね。前作よりも麻の混合率を下げることになって、このタオルならではの特徴をどうやって持たせるかなと考えたときに、ストールではないですけど、普通のタオルとは違う“意匠”としての要素が入っていて、かつそれが機能的であるのがいいなと思って。そこで何ができるかと考えたときに、乾きやすさを追求して、余計なものをどんどん排除していきました。 タオルの横端はやっぱり無理だったけど、ヘムはそのままフリンジを形にしてくれたので、このタオルの特徴としていいものになったなと。 少しでも乾きやすさにつながるよう、ロゴの貼り付けタグもやめてループに一本化。ロゴデザインも新しくなりました。 |
松浦 |
そうですね。実はギリギリまで「ヘムを巻かせてください!」と抵抗していたんですけどね(笑)。というのも、伊織のお客様の多くはギフト選びでご利用いただいているんですけど、贈り物の場合は「どなたにも喜んでもらえるもの」が選ばれることが多く、フリンジのカジュアルなデザインはギフトには難しいかもしれないというのがあって。 でも今思えば、そういう中庸なところを取っていくと、どっちつかずの中途半端なものになっていただろうと思うし、「乾きやすい」というシンプルでわかりやすいところを追求して、結果としてすごくいいものができたので、抵抗しきらずに折れてよかったと思っています。 |
今中 |
こちらの要望を受け入れていただいたおかげですね(笑)。 |
松浦 |
あと、何度もテストを繰り返した「タオルの縮み問題」については、試作の段階からずっとみなさんあまり気にならないとおっしゃっていましたよね?乾燥機にかけたら10cmも縮んだんですけど……。 |
今中 |
僕らはそうですね……。 |
池田 |
まったく気にしてなかった。 |
松浦 |
伊織のタオルはギフトとして選ばれることが多いので、「自分はよくてももらった人はどう思うだろう」と気にされるお客様もいらっしゃることもあり、私たちは縮みに対してすごく敏感なところがあるので、その感覚の違いも少しありましたよね。 結局、乾燥機での縮みを解消することはできないため、(縮んだ状態で普通の長さになるように)あらかじめ一般的なサイズよりも少し長めにつくることで着地させました。 |
池田 |
僕らは自分が使う目線だけで考えちゃったんで、たぶんそこの差はありますね。僕は普段から新しいTシャツを買ったら絶対に最初乾燥機にかけて、目詰めをしてから着たいぐらいのタイプなので、ぎゅっと縮むほどワッフルが詰まってくれると、僕の中ではよく水を吸ってくれるイメージがあります。 |
松浦 |
たしかに性能に影響はないので、縮みに関しては私たちの伝え方次第ではありますね。そもそもこのタオルを気に入って買ってくれる人は、少々の縮みなどあまり気にしなさそう。 |
今中 |
僕らのものづくりの目線は「使いやすい道具としてどうか」という発想なので、使い勝手に支障がない歪みや縮みは気にしないことが多いなと、話しながら思いましたね。 |
松浦 |
私もこのタオルを人に贈るときには「自分が好きなもの」としてプレゼントしています。親しい友人だったら「これは絶対好きだろうな」という感覚も分かりますし、それをきっかけに買い足してくれることがあるくらい、「使えばわかる良さ」がありますね。 |
生活に、家族に寄り添うタオル。
今中 |
(写真一番上のタオル)この初代プレインプレイドは私物なんですけど、リリースされた2017年から使っています。だいぶ柔らかくなったな〜という印象。お気に入りです。 実は今までそんなにタオルに向き合ったことがなかったのですが、開発に携わるにあたってそれぞれの特徴を意識するようになりました。 |
池田 |
使い込むほどやわらかくなるのは麻の魅力ですね。 |
– 普段はどんなシーンで使っていますか?
今中 |
やっぱり普通にお風呂上がりとかですかね。この5年の間に子供ができたり、生活環境も変わっていく中で奥さんもすごいこのタオルを気に入っていて。新しいタオルももう少し買ってきてと言われています。 |
池田 |
家族が増えると、洗濯頻度とか洗濯機の容量とかも変わるしね。薄手で乾きやすいタオルはありがたいです。 |
– 大判サイズでもかさばらないのもいいですよね。
池田 |
夏場とか車に積んでおくと、子ども連れで出掛けた先でふいに水遊びをしたときなんかにも使えるし、エアコンの効いた車内で子どもが寝ちゃったときは、毛布だとちょっと大袈裟だけど、このぐらいの厚みだったら肌掛け代わりに使えるのですごい重宝します。車内に置きっぱなしにしていても、なんとなく馴染むデザインというか、気にならない。 |
– PLAIN PLAIDのカラーについて。今回生成り以外の2色が変更になりましたが、どうしてこのカラーラインナップになったかなどあれば教えてください。
池田 |
ワッフルタオルとかって、サンプルで送ってくれたようなナチュラルな雰囲気のものが多かったのですが、お店に並ぶイメージを膨らませたときに、自分たちが欲しいと思う色で、かつ他のワッフルタオルには無い色味のものがいいと考え、自分たちで好きな色をいくつか挙げたなかで選んだのがこのカラーラインナップです。 |
http://playmountain-tokyo.com/
松浦 |
伊織は女性スタッフが多いのですが、あまり他のシリーズにないカラーなので人気ですよ。 |
池田 |
僕らはほぼ男性スタッフなので、どうしても男目線がかかってしまう。でも受け入れられてよかったです。 |
松浦 |
プレインプレイドは、ランドスケーププロダクツさんとご一緒しなければ絶対に生まれなかったものなので、すごくありがたい機会だなと感じています。私たちの目線だけでつくると、どうしても贈りやすいもの・誰もが手に取りやすいものを考えてしまいがちなので。 今回の商品リニューアルを機に生産方法を見直すことができたおかげで、コントロールしやすくなってよかったと思っています。 こだわっても、やっぱり“つくり続けられないもの”って難しいから。無理なく気持ちよくつくることができて、気持ちよく販売できるようなものになってよかったと、すごく思います。 |
池田 |
この先も何か、前回のピローケースのような、違う展開も考えられたら面白いですね。 |
松浦 |
新しいPLAIN PLAIDでのピローケースも気持ちよさそうですね〜。 前回、ピローケースだけでなく、バンダナとか、ペットボトルケースや巾着など袋物もつくりましたよね。実は小物系は、ピローケースをつくった生地の余った部分を活かしてつくったんですけど、生地を無駄なく有効活用できる反面、どちらかが欠品しちゃうと、一方だけをつくるということができないので、コンスタントな生産の継続が難しいという問題がありました。 できるだけ捨てることなく、無理なくつくれるもので、また何か考えられたらいいですね。 |
池田 |
そういう制約があるほうが、何か考えるときは楽しいですね。 |
ランドスケーププロダクツ スタッフさんに聞いた!
「実際、こんな風につかってます」
Landscape Products × 伊織 コラボ商品
『PLAIN PLAID』
プレイマウンテン スタッフ
木下さん(30代・女性)
愛用タオル:フェイスタオル(チャコール)
洗いにかけることでギュッと目が詰まって、ワッフルにより立体感が出て少し厚みが増して、ふわっとする変化が気に入ってます。私は洗面台で顔を拭いたり髪の毛を拭くのに使っているのですが、フェイスタオルは、店頭ではキッチンで使うのにちょうど良いサイズ!と言って購入されるお客様が多いです。
そして、個人的には銭湯に時々行くのですが、薄くて軽いので荷物がコンパクトになるのも使いやすく重宝します。写真は常備しているお風呂セットです。
ランドスケーププロダクツ スタッフ
今中さん(30代・男性)
愛用タオル:バスタオル(チャコール)
我が家には幼い子供がいるので洗濯物が多くでます。そんな中、PLAIN PLAIDのコンパクト感、乾きやすさは本当に重宝しています。
吸水力に関してはリニューアル前のシリーズに比べて増しているのではないでしょうか。使い込むほど柔らかな肌触りになり、赤ちゃんの肌にも気にせず使用でき、お風呂上がりの拭き上げ時も大人しくしてくれます。