今治タオルは11種類の厳しい検査と遊離ホルムアルデヒドの基準をクリアしています。しかし、タオル製品固有のトラブルと無縁ではございません。今治タオルをお使いいただいている際によくあるトラブルをまとめました。
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パイル抜け(ほつれ)
タオルをお使いいただいている、おそらくほとんどの人が経験したことがあるであろう、タオル特有のトラブルがパイル抜けです。
タオルはタテ糸、ヨコ糸で平織りされるところに、もう一本タテ糸を加え、パイル(輪っか状)に波打つように残しながら織ったものです。輪っかが出ているわけですから、すぐに何かに引っかかってしまい、その引張りによって糸がツルツルと出てきてしまう状態です。
パイルが出てしまった場合は、引っ張らずにハサミなどで切ってもらうよう、対処をお願いしております。パイルは、根元に当たる、平織り状態の部分でタテ糸とヨコ糸にギュッと締め付けられていますので、切ってしまってもそれ以上出てくることはありません。
パイルは、家具の角や人の爪など、生活シーンのあらゆるものに引っかかる可能性があります。それ以上飛び出さないように、見つけたら早めに切っていただくしかございません。他に気をつけていただく点としては「柔軟剤」です。
柔軟剤をたくさん使うとタオルがふんわり柔らかくなるように思われていますが、たしかに組織を柔らかくはしますが、必要以上に柔らかくしますとパイル抜けへの抵抗力も弱まってしまいます。 また柔軟剤は油性のコーティングをするようなものでもあるため、吸水性も落ちます。柔軟剤を使いたいお洗濯物と分けていただくか、気持ち程度の量に減らしていただくことをオススメさせていただいております。
毛羽落ち
今治タオルはふんわりやわらかく、身体を拭くのが楽しくなりますが、小さな繊維(毛羽)が体についてしまう、というお困りの声もいただきます。タオルは綿織物であり、数多くの綿繊維を束ねて糸を作っておりますので、そこから小さな短い繊維が滑脱してしまいます。
毛羽を取り除く方法としましては、お洗濯でのくず取りネットが一番です。たっぷりの水でお洗濯して毛羽が落とせても、また洗濯物に付着してしまうと使用時に身体に付いてしまいます。また、毛羽についても「柔軟剤」を過度に使用しないことが大切です。柔軟剤はタオルを柔らかくはしますが、綿と組織の摩擦力と抵抗力も大きく落としてしまい、毛羽落ちを誘発します。
また購入直後は毛羽やホコリなどが付いていたりしますので、たっぷりのお水で、柔軟剤無しで単独洗いをすることで、余計な毛羽を落とすとともに、綿組織を引き締めて毛羽落ちを防ぐことをオススメしております。今治タオルは「おろしたてでも水を吸う」その高品質を誇りとしていますが、一度洗ってからお使いいただいた方が、長く持つ秘訣でもあります。
日焼け、変色
繊維製品は長時間日光に当てると色焼け(褪色)してしまい、その部分だけ薄く変色してしまいます。本と同じですね。伊織のお店でも外からのお日さまでタオルが焼けてしまう危険性があるので、あの手この手と工夫しています。
まず一番は直射日光が差し込む場所にタオルを保管しないことです。西日はもちろんのこと、実は朝日も危険です。日が差し込んでも大丈夫なように影になる場所にストックしてください。また蛍光灯でも焼けてしまいます。LEDですと紫外線がありませんので褪色・劣化の元にはなりませんが、それでも油断は禁物、なるべく光源から離して置きましょう。
変色については、頂いたタオルをそのまま何年も置いていたら淡く黄色い部分ができていた、というトラブルもあります。原因の特定は難しいのですが、セロテープなどに含まれる酸化防止剤に起因することもあります。ケースや袋に入れたまま長期間保管しないで、ときどき使ってあげましょう。伊織ではお祝いなどでいただいたタオルは一度お洗濯してから保管していただくよう、ご案内させていただいております。
色落ち、色移り
色落ちを起こす原因として、綿の植物繊維(セルロース)に染料が完全に定着していない状態である場合が想定されます。今治タオルではお洗濯の堅牢度試験での合格を必須としていますが、完全な染色は難しく、繊維にわずかに残ったりして、お洗濯の際に他の洗濯物に付着してしまう場合がございます。特に、黒やネイビーなど濃色のタオルに使う染料では、そういう事例がいくつか過去にもあったため、まず単独で洗ってきれいに落としてからのご利用をご案内させていただいております。
また、濡れたタオルを他の洗濯物と一緒に長時間置いていたら色が移る、というトラブルもあります。こちらも同様に、水分を含んで浮き出て移ってしまったものと思われます。工場出荷時に十分な洗浄と乾燥、検品をしておりますが、わずかに残る可能性はゼロではありませんので、大切な衣類を守るために、念のため、使用前のお洗濯をご提案させていただきます。
におい
においがする、というトラブルについて、購入直後ににおうのか、しばらくご使用後ににおうのかで、対処法のご案内が異なります。まず、ご購入直後からいやなにおいがする場合、誠に申し訳ございません。その場合はタオル製造工程の糊抜きのときに、綺麗に落ちきらなかった恐れがございます。
タオルの生産では糸切れすると織りがストップしてしまい、生産速度が上がりません。そのため、糸切れを防ぐために工場を加湿したり糸に糊を付けたりして対処しております。この糊がわずかに残り、そのまま袋詰めで密封して出荷したため、においが残ってしまったものと思われます。お洗濯して落ちるものではあるのですが、においがひどい場合は商品交換の上、メーカーさんにフィードバックいたしますので、ご購入いただいたお店にご連絡ください。
ご利用していてタオルのにおいが気になるようになった場合、こちらのにおいの元は菌が原因と思われます。水を吸ったりお洗濯をして干している間に、大気中の菌が付着し、皮脂やタンパク質を栄養として繁殖しているためです。タンパク質はお洗濯で落とせますが、一度菌が繁殖すると、水気を吸うたびに活性化していやなにおいを発します。常日頃から、水気を吸ったままのタオルを放置しない、風通しの良いところで干す、洗濯槽をクリーナーで除菌する、など、雑菌が繁殖しにくいお使い方をオススメいたします。また、一度においが付いたタオルは、少しお湯に付けて殺菌してしまうのもいいでしょう。
詳しくはこちらもご覧ください。
タオルのお悩み解消Q&A(におい編)